世界に一つしかないTikTok動画をつくろう!
こどもラボ2019年1ー3月プロジェクト
「世界に一つしかないTikTok動画をつくろう!」が終了しました。
これからの世界に欠かすことができないSNS。
便利だけれど、その中には危険を含むのも事実。
今回は人気が瞬く間に広まったTikTokを扱いながら、
「インターネット(SNS)をどう扱うの」
「人の心を動かすには」という問いを
ラボキッズたちと考えました。
目 次
1.「いいね!」ってなんだろう?
2. TikTok動画を撮影してみよう!
3. どうやったら伝わるんだろう?
4. おもしろければいいのかな?
5. 伝える方法はことばだけ?
6. プロと一緒に動画を撮ろう!
7. 予想を越えよう!
8. 自分たちで動画をつくろう!
9. 体験したことを振り返ろう!
1.「いいね!」ってなんだろう?
15秒の間に音楽に合わせて
自分の世界を伝えるTikTok。
自分の世界をより多くの人に共感してもらうためには、
みんなが何を「いいね!」と思うのかを
考える必要があります。
人は何に「いいね!」と思うんだろう。
その問いの答えを探すため、
まずは自分たちが何を「いいね!」と思うかを
探っていきます。
どんな「いいね!」があったのを全体に共有します。
「いいね!」の中身は違うようです。
それはまるでカレーライス。
甘口もあれば辛口も中辛もある。
焼きカレーだってあるし、カツカレーもある。
それぞれ違った「いいね!」があるんだね。
だから、動画を撮るときは、
どんな「いいね!」を取り入れるかを考えてみよう。
2. TikTok動画を撮影してみよう!
TikTok動画を撮ってみます。
ほとんどの子が初めての撮影。
各班でどんな動画にするかを考えます。
どんな「いいね!」を取り入れようかな。
振り付けも考えて、
そして動画の撮影…
そうやって子どもラボTikTok動画第一号が出来上がりました!
子どもたちの感想は…
「まあまあ。」「びみょう。」
「やって楽しかった?」という問いには、
「恥ずかしかった…」
「恥ずかしがらずに楽しんだらいいやん」
「別に大したことやない」
と側からは思われるかもしれません。
でも、この時のラボキッズにとっては、
「15秒の世界の主人公になる」ということは、
とてつもなく大きな壁に向かって
一歩踏み出すことでした。
3. どうやったら伝わるんだろう?
今回は相手に共感してもらうための伝え方を考えます。
その練習を兼ねてまずは他己紹介をしました。
1分間で相手の情報を聞き出して、
それを全体に向けて伝える。
ただ聞いたことを伝えるだけじゃなくて、
聞いている人が
「え、そんなところがあるの!?」と驚いたり、
「あ、それ自分と一緒だ」という発見がある、
そんな伝え方をするにはどうしたらいいんだろう。
そのためには、
聞き手の気持ちを考えた伝え方がいるんだったね。
そして次はTikTokの動画づくり。
まずは班に分かれてどんな動画を撮るのかを考えます。
イメージが固まったら次は動画撮影…
撮影が終わったらそれを全体で共有します。
今日のテーマは
「共感してもらえる伝え方」でした。
相手に伝わるには相手のことを考えることが大切で、
相手がどういうことに驚いたり、
おもしろいって思ったりするのか、
そのために自分たちは何をどう工夫して伝えるのか。
その点を特に振り返ります。
自分たちが作った動画を見ます。
自分たちでは面白いと思っていても、
相手にはそれが伝わっていないこともある。
だから、他の人の意見を大切に聞こう。
ぼくらは自分では背中を見ることはできないけれど、
ぼくらの後ろにいる人はそれが見えるんだ。
自分には見えていないところを教えてくれるんだ。
それに対してさらに質問や意見を繰り返していけば、
君たちの見える世界はどんどん広がっていくんだよ。
4. おもしろければいいのかな?
今回は
「インターネット\の扱い方」について考えます。
インターネットってとても便利。
でも、全部が全部いいことではない。
りんごはおいしいけれど、
その中には白雪姫が食べた毒りんごもあるみたいに。
危険なものもあるってことを知った上で、
それを食べるかを決めよう。
じゃあ、TikTokとかSNSの
「危険なもの」ってなんだろう。
人から「いいね!」をもらう1つの方法は
「おどろき」を取り入れること。
その「おどろき」が大きいほど
たくさんの「いいね!」がもらえる。
そうやって昔、
たくさんの「いいね!」をもらった人がいたんだ。
「地震のせいで動物園からライオンが逃げ出した」。
きみたちが言ったように、これは単なるウソ。
おもしろいかなって思ってやっただけ。
でも、このウソのせいでたくさんの人が困ったんだ。
「おもしろいから」って
やっていいことと悪いことがあるんだよ。
だから、
それをやると相手がどんな気持ちになるか、
誰も傷つく人がいないかを考えることが大切なんだ。
5. 伝える方法はことばだけ?
今回は伝える方法について考えます。
何かを伝える時、
ぼくらは多くの面で「ことば」に頼るけれど、
「ことば」以外にも伝える方法はあるんじゃないかな。
ということで、「イエス・ノーゲーム」をしました。
使えることばは「イエス」と「ノー」だけ。
あるお題に「イエス」と「ノー」の立場に分かれて、
身体で思いを表現して、
相手の立場を変えてみよう。
お題は「おもちゃを買ってほしい5歳の子と、買いたくないママ」
買ってほしい子が「イエス」、ママが「ノー」。
最初は照れながらやっていたけれど、
少しずつはじけてくる、
そして最後は身体中から気持ちがこみ上げてくる。
ことばにすると
「イエス」と「ノー」のたった2つだけ。
でも、ことばだけが伝え方じゃない。
ことばで表せないことも身体を使って表せる。
そして、
ことばと身体の両方を使うことで
伝わる力はもっと大きくなるんだね。
そしてここからは動画撮影。
まずは今週のお題動画を見ます。
いろんな人がいろんな伝え方をしています。
どんなところに「いいね!」って思った?
どうやったらもっと伝わるんだろう。
こうしたらもっと伝わるし、おもしろいんちゃうかな。
イメージを膨らませてから
各班で動画撮影に移っていきます。
伝え方にも気をつけながら…
撮影が終われば全体で共有。
どこに「いいね!」があったのかな。
どうすればもっと多くの人に共感してもらえたのかな。
6. プロと一緒に動画を撮ろう!
今回はプロの方との共演。
以前の映画撮影でもお世話になった
山本さんの登場です。
山本さんは映像クリエイターの専門家。
これまで手がけてた作品を一緒に見ていきます。
どんな「いいね!」が隠されているんだろう。
「動画を作るときは『ストーリー』が大切なんだ。」
「起承転結って聞いたことあるかな。」
「一緒にストーリーを考えてみよう。」
「こうしたらもっとおもしろいんじゃないかな。」
シナリオを作り、次はいよいよ撮影。
プロの指揮のもと、TikTok動画を撮っていきます。
撮った動画はその場で確認して振り返りを行います。
「ここは良かったけど、
もう少し手の動きを大きくした方がいいよね。」
プロからの貴重なアドバイス。
細部の修正を加えてもう一度。
他の動画にも挑戦しました。
撮った動画はすぐに見直してまた撮影。
「いい作品は一度ではできないんだよ。」
そうやって何度も撮り直しを重ねてプロと共演したTikTok動画が出来上がりました。
7. 予想を越えよう!
今回のテーマは「予想を越えよう!」
ある本の紹介から入りました。
「もし恐竜がいたら…」
この問いに対し、
この本は予想を超える答えを出してくれます。
それはおどろきを与え、「いいね!」につながる。
TikTokでも同じ。
山本さんが教えてくれた
ストーリーの大切さにもあったように、
周りの人の「予想」を超えたとき、
人は「いいね!」と思ってくれるはず。
ということで、今回はこのテーマをもとに、
ラボキッズたちは動画の撮影に取り組みました。
彼らだけのストーリーを作っていきます。
「伝え方はことばだけじゃない」
ことばで伝わらない時は絵を描いてみたり、
自分で動きを示してみたりする。
「いい作品は一度ではできないんだよ。」
だから撮っては振り返って、また撮るを繰り返す。
「いいね!」って周りに思ってもらうにはまず自分たちが「いいね!」って思えないと。
自分たちがつくる動画を自分たちは「いいね!」って思えているかな。
自分たちが最初にした「予想」も超えているかな。
8. 自分たちで動画をつくろう!
これから3週にかけて、
自分たちで曲選び、動画作り、
編集を何度もこなしていきます。
まずは曲選び。
4人いれば4人の考え方がある。
ずっと同じ曲を選びたい子も、
どんどん新しいのを選びたい子も。
いろんな意見があっていい。
でも、時間は限られている。
決められた時間内で動画を撮影して
完成させないといけない。
全体を見て判断する役を
リーダーさんが引き受けてくれました。
どんな動きをしたらいいのか、
どんな動きをして欲しいのか、
でも、リーダーの声が絶対ではないんだ。
誰もが自分の思いを伝えていいんだよ。
周りと意見が違ってもいいし、
「なんで?」ってなんども聞き直していいんだよ。
他の人には見えてないけれど、
自分には見えているものがあって、
自分には見えてないけれど、
他の人には見えているものがある。
だから何度も問い直そうよ。
それで「いいね!」と周りに思ってもらえるのか、
それで「いいね!」って自分は思えるのかを。
9. 体験したことを振り返ろう!
これにて「世界に一つしかないTikTok動画をつくろう!」は終了。
「『いいね!』っていつ生まれるの?」
という問いから出発して、
動画を撮って、
伝えるってことについて考えて、
「たのしければそれでいいの?」っていう問いと
向き合ったりもして、
ことば以外の伝え方を考えて、
プロと共演して作品を作り上げて、
自分たちで曲選びから編集まで
助け合いながら作りあげて、
「世界に一つしかないTikTok動画」ができあがったんだね。
覚えているかな。
最初にTikTok動画を撮影した日、
きみたちの前には
「恥ずかしい」っていう大きな壁があったんだよ。
一歩踏み出すのにとても苦労していたんだよ。
でも、今のきみたちの表情を見ていると、
その壁って
ほんとは低かったんじゃないかなって思うんだ。
低いけれど、
高く見えるから一歩を踏み出せていないだけで、
あんがい一歩踏み出すと軽く超えられて、
あとはどんどん進んでいける。
そんな壁だったんじゃないかな。
きみたちが体験した、
高いって思っていた壁が実は低い壁だったこと、
そして簡単に超えて、どんどん進んでいけたこと、
忘れないでほしいな。
最後に少し自分の話をさせてもらいました。
昔のぼくの仕事は
「レールの上をちゃんと走ること」でした。
周りの期待に応えるように頑張る。
でもぼくは電車ではありませんでした。
レールの上を走ることに疲れてしまいました。
なのでぼくはレールを降りました。
すると、見渡す限りの大地が広がっていて、
ぼくは自由になりました。
最初はとっても幸せでした。
ぼくはどんどん進んでいきました。
でも、途中で気づきました。
自分が大地で一人になっていることを。
その時ぼくにできることは
自分の勘を信じて歩くことだけでした。
右にも左にも進んではいけるけれど、
その道が行き止まりなのか、
もっといい道があるのかはわからない。
自分には見えていないけれど、
他の人には見えているものがあることを忘れ、
ぼくの道をぼくだけで進んでいっていたのです。
幸い、ぼくは大地でいろんな人に出会えました。
自分には見えていないけれど、
他の人には見えているものをたくさん教えてもらい、
ぼくはそれをヒントに
ぼくの道を進むことができるようになりました。
こんな迷ってばかりのぼくからラボキッズへ一言。
どこへ行くにも
自分の声と周りの声の両方を大切にする
これをみんなにも覚えていてほしいな。
一年間という短い期間でしたが、
ぼくが与えれたことよりも
遥かに多くのことを学ばせてもらいました。
本当にありがとうございました。
ということで、
1−3月のプロジェクト「世界に一つしかないTikTok動画をつくろう!」が終わりました。
山本さん、ご協力いただいた保護者の方々、そしてラボキッズのみんな、おかっちさん、
本当にありがとうございました。
PETERSOXスクールリーダー
まごっち
こどもラボとは?
2020年以降の小学校教育に導入される「主体的・対話的で深い学び」に対応している課題解決型教育プログラムです。
「やってみたい!」と思ったことを、プロフェッショナルや仲間と協力して、試行錯誤を繰り返し、考え抜く力、相手の考えを聞く力、根気強さ、表現力を育んでいきます。
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〜おまけ〜