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「わたしって、ぼくって、どんな人?」

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PETERSOX スクールリーダーのエミーコです!

アメリカから引っ越してきて2か月、ゆっくりと日本人らしさを取り戻している私のそばで、「異星人」として中学校に転入した息子は、驚くスピードで和歌山弁を上達させながら日本の生活に溶け込んでいます。

 

 

前回のコラムを読んでいただいた方々から、こどもの個性を見る・知るということについて貴重なご意見やご感想をいただいたので、今回はもう少し掘り下げてみたいなと思っています。

 

こどもの才能や個性を見出してあげたいとの願いから、習い事や活動の機会を探し求めていらっしゃる親御さんも多いかと思います。

 

しかし、いざ教室に入ってみたら、

子どものやる気がない

・・・イライラ。

 

うちの子も隣の子みたいに、楽しそうに活動に取り組んでほしい。

・・・メラメラ。

 

お金もかかっているんだから、効率よく学べるものは学んでほしい

・・・ソワソワ。

 

なんて、

わが子が何かに興味を持って、イキイキと取り組む姿をみたい! というお母さん、お父さんの期待が、どうも子どもの行動にそぐわないことも多いのではないでしょうか。

 

私自身も子どもが小さいときには、空手だの、水泳だのいろいろやらせてみたものの、子どものワクワクした心を感じることができず、なんだか違うなーとモヤモヤした気持ちのまま中途半端に辞めさせた苦い思い出があります。

 

では、情熱を持って自発的的に学ぶという姿をもたらすためには、何が必要なのでしょうか。。。

 

「わたし/ぼくは、できても、できなくてもいいんだ。

ただやってみたいんだもん!」

 

と思える「自己肯定感」を土台にして、

 

「わたし/ぼくなら、

やればできるんじゃない? 

だからやれることはやってみる!」

 

と考えられる「自己効力感」。

 

その二つが、学び続けるために必要な能力なんじゃないかなーと思っています。

 

その能力は、将来勉強や仕事でも必要とされるたいへん重要な能力であると感じています。

 

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私はシアトルの幼稚園や自分が運営する工作教室などで、成長するにつれ学ぶ意欲が増す子ども達の秘密をひそかに探っていたのですが、「自己肯定感」や「自己効力感」を身につけている子の共通点は、案外シンプルだったのです。

 

子どもが

「自分は何が好きで、

どういうものに居心地良く感じ、楽しみを見出すか」

ということに自ら気づいていること。

 

つまりは、

「自分とはどういう人間なのか」

ということを知っていて、

 

自分の弱点やこれからの課題も、そして何よりも自分の「強み」をよくわかっている子達だったんです。

 

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ある日、シアトルの幼稚園でこんな光景を目にしました。

 

5歳のトム君がビー玉を教室内で見つけ、いろんなところでそのビー玉を転がすことに夢中になっています。

 

お友達が忍耐強く積み木で作ったお城に目もくれず、隙間をぬいながら走ってビー玉を追いかけています。

 

他の子どもたちも、自分達のお城にトム君がぶつからないかヒヤヒヤしていて、ただならぬ緊張の糸が教室中に張り詰められています。
案の定、トム君は積み木のお城に突進し、お城は無残に崩れてしまいました。

 

お城を一生懸命作っていた子ども達は、

「ほら、やっぱり!」と言わんばかりに怒りだすし、

 

優しい先生は「トム君、お友達のお城を壊してはダメよ。お友達が悲しい気持ちになってしまいますよ。気をつけてね。」と言いながら、全く先生の声が耳に入らないトム君を追いかけるのに必死です。

 

今度は別の厳しい先生がトム君のところにやってきて、

「何度言ったらわかるの!お友達が泣いてるでしょう。こっちで座っていなさい!」

とイライラしながら、

言うことを聞かない子がいつも追いやられる「休憩のイス」と称した罰用のイスに、トム君を無理矢理座らせました。

 

一部始終をみていた隣のクラスのブリアナ先生がやってきて、

つまらなそうに床を見つめているトム君にゆっくりと言いました。

 

「トム君、ビー玉を転がすのすごく楽しそうだったね。

一緒にビー玉を転がす迷路を作ってみない?

枠のある迷路なら、そこらじゅうにビー玉が転がってお友達の邪魔になることもないしね♪」

 

トム君は一瞬で目の奥に輝きを放ち、黙々とブリアナ先生の話を聞いていたかと思うと、先生にあらゆるアイデアを提案し始めたのです。

 

ブリアナ先生は、

「迷路の壁に段ボールが2枚いるとしたら、4つの壁で何枚の段ボールがいるかなあ。。。」と、

心がのってきたトム君にうまく課題をなげかけます。

 

そこにはもう「いたずらっ子」としてのトム君はいませんでしたが、

真剣に迷路づくりに取り組む、しっかり考えるトム君がいました。

 

 

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トム君は「直観タイプ」で、アイデアは大雑把で出来上がりはいまいち。

すぐに飽きてしまうのですが、頭の回転がよく、頭に次々と浮かぶアイデアを試してみることが大好きです。

ビー玉をどうすれば途中で止めることなく、速くゴールに到着させることができるのかをよく考えを巡らせていました。

 

そのうちに他の子ども達が、トム君の指示に従って手伝いはじめたのです!

 

彼は30分前までは「いたずらっ子」としてレッテルを貼られていた子でしたが、実はもっとも熱心な学習者であり、グループをひっぱていけるリーダーでもあったのです。

 

トム君の隣では「感覚タイプ」のジャスティン君が、トム君の作った迷路に何個も何個も一人で黙々とビー玉を落として、その様子を飽きずに観察しています。

 

ジャスティン君は、トム君のキラリと輝くアイデアにはそれほど心が動いていない様子です。

 

体の五感に響く美しさや、美しく規則正しく並んでいるものに魅力を感じているみたいです。

 

考えることは少し苦手ですが、細かくて長時間の手作業を苦労をおしまず、努力を続けることが得意です。

小学校に入れば、コツコツと勉強するのが得意になることでしょう。

 

「感情タイプ」のジュディーちゃんにとっては、ビー玉迷路作りを通してお友達と笑い合ったり、お話することがなによりも大切で至福を感じる時間です。

ジュディーちゃんのようなこどもは、チーム全体のムードメーカーでもあり、他のお友達を楽しませるために断然力を発揮します。

 

「思考タイプ」のタイラー君は、

トム君のグループが始めたビー玉迷路作戦に興味が全くなさそうです。他の子達が一生懸命にああだ、こうだと言いながら迷路を作っている様子を、遠くから冷静に見ています。

 

そこにブリアナ先生が、“独り言のように”つぶやきました。

 

「やっとビー玉がゴールに向かうようになったのはいいんだけどね、

ゴールするときに上手にビー玉がゴール箱に入らないから、あちらこちらに飛び散って拾うのが大変だよ~。なんとかならないかなあ。。」

 

それを聞いていたタイラー君はすかさず、ゴールの箱の位置をずらしてテープで貼りなおしたかと思うと、なんとゴールに向かうビー玉はすべてその箱に入るようになったのです!

 

タイラー君はビー玉が動く様子を観察していた間、ビー玉がどの角度とスピードで落ちていって、どのへんにゴール箱を置けばいいのか、ずっと分析し続けていたのです。

 

お友達が「ビー玉が入った!」と叫ぶ横で、ニンマリと静かにほほ笑むタイラー君でした。

 

タイラー君のようなこどもは一見ボーっとしていて、幼稚園の先生やお友達からも、何を考えているのかわからないように思われることがあります。

 

でもタイラー君は、つねに物事のパターンを観察、分析し、問題解決を頭の中で試みているような子どもです。

 

他の子とワイワイいいながら参加する形でなくても、

こうして自分の強みを生かせることが、

タイラー君のような子どもにとっては幸せを感じる瞬間なんです。

 

関わる大人によっては、グループのリーダーとなりえたトム君は、

ただの「問題児」だったかもしれませんし、

タイラー君は活動に積極的に参加しない

「やる気のない子」だったかもしれません。

 

ブリアナ先生は、

子どもの個性を見極め、

そっと課題と挑戦を与えて成長を導いていたのでした。

 

こどもはそれぞれユニークであるからこそ、

同じ教育環境や、

大人がこうしてほしいと願う思わくの中では、

その子の一番の強みや成長を引き出すことはできません。

 

自分だけの強みは、時間をかけて育まれます。

 

私はこども一人ひとりの個性や学び方が、

それぞれのペースで、サポートしてもらえるといいなと思っています。

 

見守り、そして導く大人の働きかけにより、それぞれの学びが、よりワクワクしてやる気のある自発的なものに変わっていくことを心から願っています。

 

PETERSOXに関わる子ども達に限らず、

大人達も、いま一度、

「自分ってどんな人間だろ?」

と自分に問いかけてみてはどうでしょうか。。。

 

スクールリーダー
エミーコ

 

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【アメリカで子育てをした私が日本の子育てについて思うこと。】

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